「貴女はまるで　雪のように　美しいですね」

そう言ったら、白い肌が、イチゴが熟れるように、真っ赤になって、愛らしかった。


僕はゆっくり手をのばして、そっと彼女の髪を触ろうとして、彼女はそんな僕の行為に少しびくっと体を震わせたけれど、最終的には、僕は彼女の髪を掬うことができて、そして、まだ真っ赤な頬のまま、彼女は照れたように笑った。

今春、さいごの雪となるだろう。

空から舞う雪を、僕はやっぱり嫌いだと思った。

絶対に手に入れることのできない、その純粋さに、僕はめまいがするほど。

そのクセ、僕の心にこんなに入り込んできて、僕を狂わせようとするのですから・・・。

何て・・・愛(かな)しい存在。

そうして、責任だけとらずに、貴女は、貴女が在るべき場所へ、行ってしまうのでしょうね。

END(2013.4.8)