考えてみれば、僕が興味をもった女子なんて、数えるほどもいなくて。
大体、並盛の生徒は僕を怖がってくれてるし。
２月１４日に、下駄箱にチョコレートがいっぱい入っていたから、
好意を寄せている女子は、もしかしたら、いるかもしれないけれど。(群れてると、咬み殺すよ)。
それでも、正々堂々と僕に近寄ってきて、話しかける女子はいない。
ましてや、文句を言う命知らずな人間は、今まで会ったことがないから。
「はひー！ヒバリさん、それでですね！」
「ヒバリさん」
「ヒバリさん」
今日も彼女は、僕に何か言っている。
場所は、並盛風紀委員室。
彼女は黒いソファに座って。
僕は書類に目を通している。
「がはは。ランボさんだもんね」
いきなり、応接室に入ってきた、その変な生き物。
しばらく、放っておいたのだけど。
イライラしてきたので、トンファーで滅多打ちにしようと、高くかかげたとき。
「はひー！何をしてるんですかー！」
その女子は、いきなり部屋に入ってきたかと思うと、ズカズカと僕の前までやってきて、
その変な生き物を僕からひったくった。
「・・・・・・・」
空になった手をしばし、眺める。
「・・・なんだい。君は。」
「やっぱり、ランボちゃん、ここでした。ランボちゃんらしき子がこの部屋に入っていくのを
見たっていうから・・・。」
すごんで見てやったのに。
質問に答えないな。
おまけに、なんか、睨んでるよ。
この僕を。
「ランボちゃんをいじめるなんて、許せません！謝ってください！」
じりじりと睨みつける、その少女。
一拍の間。
僕は黙って、指をさした。
「・・・あ、」
そこには、机から落ちて、バラバラに散らばった書類。
倒されて、折れかけの観葉植物。
割れたコップと飲みかけのコーヒーがこぼれている。
「ごめんなさい。ほら、ランボちゃんも謝って。」
「がははははー、ランボさん、謝らないもんねー」
「ランボちゃん！」
「がははははー」
「ランボちゃんの代わりに、ハルが謝ります。ごめんなさい。すみませんでした。」
頭をふかぶかとさげている。
「もう、いいよ・・・」
ため息とともに吐き出した。
なんだか、面倒くさくなった。
どうでもいいよ、コップが割れたことなんて。
そのかわり、面白い生き物と出会えたから。
僕がにっこり笑うと、三浦ハルは、安心したように、微笑んだ。
「明日にでも、代わりのコップを買ってきますね。」
へー、君、面白いね。
また、おいで。
三浦ハル。
退屈してたところなんだ。
歓迎するよ。
「はひー！ヒバリさん、それでですね！」
「ヒバリさん」
「ヒバリさん」
今日も彼女は、僕に何か言っている。
場所は、並盛風紀委員室。
彼女は黒いソファに座って。
僕は書類に目を通している。
時折、彼女に目を向けると。
嬉しそうに微笑んで、僕のそばにやってきて。
「ヒバリさん、大好きですよ。」
そう言って、僕に抱きつこうとするから、反射的に飛びのいた。
今、何を言ったの？
この僕を好きだって。
今、何をしようとしたの？
「どうして、逃げるんですか。ヒバリさんのいじわる・・・」
そういって、スゴスゴと背をむけた彼女に、安堵して、椅子に座ろうとしたら。
「隙あり、ですー！」
「！！！」
彼女は、勢いよく、僕にタックルしてきて。
そのまま、椅子ごと後ろにひっくりかえる。
ガタン！
ゴン！！！
頭を強打した。
「はひー！ヒバリさん！大丈夫ですか？」
「あ、すごいタンコブです。はひー！！！早く冷やさなくっちゃ！」
ダダダダダダダー！
すごい速さでかけていった。
僕は、椅子ごと、ひっくり返ったまま。
ハルと出会ったことを少し後悔した。
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いったい、いつごろの話なんだ・・・と、書いたあと、考えました。
たぶん、ハルハルインタビューの後くらいかな。
ハルハルインタビューで、ハルに興味をもったけれど、さらに、また興味をもった、って感じかなぁ。
ヒバリさんは、ハルちゃんに、振り回されたらいいです。