赤い風が吹いた。
倒れたハイエナ共の血をトンファーから振りはらったら、強い風が巻き上がって、目の前の赤い花がゆれた。
奇妙な形で空を向く。
新月のように細く赤い花びらは、まるで天を求める人間の手のようで、気味悪い。
葉はなく茎だけがヒョロッと伸びて、群れて咲く。
赤い奇妙な花。揺れている。
僕は歩き出した。
君と会った日のことを僕は覚えていない。
君は、ひどいです！ヒバリさん！
なんて、涙目で怒っていたけれど。
でも、今は君の姿も声も触れた手のひらの温かさも忘れることはない。
君を想わないときはないし、いつも君のことを待っている自分がいることを知っている。
認めるまで時間がかかったけれど。
でも、とっくの昔に気付いていた。
赤い瞳が僕を見ている。
彼岸花。
花が咲いているときに葉はなく、葉があるときには花がなく。
『相思華』
花は葉を想い、葉は花を想う。
僕が君を想うように、君も僕を想えば良い。
それでも。
会いたいときに、君はいない。
彼岸花は好きな花のひとつですｖ
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